お大師様の心に触れてみましょう。

病床の嵯峨天皇様への手紙

[沙門空海が申し上げます。
殿下のお加減が悪いとうけたまわって、茫然自失しております。
そこで弟子達と一緒に、密教の修法によって
七昼夜祈願の期間を区切ってつとめることとし
今月八日より今朝までの、七日間で終了いたしました。
経を読誦し、真言を唱え続け、とだえることはございませんでした。
護摩の火煙は昼夜を問わず燃え上がっておりました。
仏陀の御加護を願い、殿下のご回復を心よりお祈りいたしました。
しかしいまだ効果があらわれていないのは
私の努力が足りないのかと肝に爛(ただれる)れる思いでございます。
どうか、私のこの気持を察してください。
この修法によって祈りを込めた水を一瓶、弟子の真朗に馬を引かせて
お届け申し上げますので、
お薬を飲む際にお使いくださって、早く良くなってください。
僧、空海 謹んで申し上げます。]

お大師様の心が見えます。病気の平癒を神仏に祈願するのは、当時も現在も変わりがないですね。